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公開日:2024年2月19日
最終更新日:2025年2月7日

賃貸アパートを売却して利益を得た場合、必ず税金がかかります。
不動産の売却に伴う税金には、所得税や住民税などさまざまな種類があり、正しい知識を持っておかなければ税負担が増えることにもなり兼ねません。

この記事では、賃貸アパート売却にかかる税金の種類や計算方法、節税対策のポイントについて分かりやすく解説します。
[解説]不動産売却利益にかかる譲渡所得について

賃貸アパート売却時にかかる税金は4つ

賃貸アパートを売却するとき、主に以下の4種類の税金が発生します。

  • 印紙税
  • 消費税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税

 

これらの税金の中には、特例や控除を適用することで負担を軽減できるものもあります。
税金の計算方法や特例を理解し、効果的に活用することで、手元に残る利益を最大化することが可能です。

賃貸アパートの売買契約時にかかる「印紙税」

印紙税は、賃貸アパートの売買契約書に収入印紙を貼付する形で納税します。 売買契約書に記載された取引金額に応じて税額が変わるため、注意しましょう。
売主の負担となることが一般的ですが、売買契約時に双方で費用分担を取り決めることも可能です。

税金の計算方法

租税特別措置法により、不動産の譲渡に関する契約書について、印紙税の軽減措置が講じられています。軽減措置の対象となる契約書は、取引金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成されたものです。

そのため、令和9年3月31日までの期間に行われた売買契約では、通常よりも低い税額が適用されます。

【印紙税(軽減措置:令和9年3月31日まで)】

売買契約の金額 税額
5,000万円を超え 1億円以下のもの 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 32万円
50億円を超えるもの 48万円

出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

税金対策のポイント

契約書が複数部作成される場合、印紙税は原則1部にのみ課税されます。 売買契約書の取り扱いを事前に確認して無駄な費用を省きましょう。 一部のケースでは電子契約書を利用することで印紙税を不要にできるため、税金負担を軽減するための選択肢として検討してみてください。

賃貸アパートの売却決済時にかかる「消費税」

賃貸アパートの売却決済のタイミングでは、以下のような費用が発生します。 それぞれに消費税がかかるので、事前に把握しておきましょう。

  • 仲介手数料
  • 司法書士に支払う報酬
  • 繰上返済手数料
  • 建物の売却にかかる消費税の納税 など

 

仲介手数料とは、売却を仲介した不動産会社へ支払う手数料のことで、「売却金額の3%+6万円」が上限です。

また、登記変更手続きを司法書士に依頼する場合、支払う報酬にも消費税がかかります。
賃貸アパートの売却代金の入金後、ローンの繰上返済を行う場合は、その手数料にも消費税が加算されます。

法人や課税事業者が賃貸アパートを売買する場合、土地の売却は非課税ですが、建物の売却は消費税の課税対象となるので注意してください。

税金の計算方法

2024年11月現在、消費税の税率は10%です。
賃貸アパートの売却価格が8,000万円(うち、土地の価格が4,000万円)の場合、仲介手数料は246万円、仲介手数料にかかる消費税は24万6千円となります。

また、建物の売却にかかる消費税は400万円ですが、これは買主が負担し、売主が預かって申告・納税することになります。

税金対策のポイント

仲介手数料にかかる税金は、手数料の金額によって異なります。
ほとんどの不動産会社が「売却金額の3%+6万円」という上限価格を採用しているものの、交渉可能なケースもゼロではないため、複数の不動産会社に見積もりを依頼し、費用を抑える方法を検討しましょう。

建物の売却にかかる消費税については、預かった消費税をすべて納税するのではなく、支払った消費税の金額を差し引いて申告・納税することになります。
法人や課税事業者の場合、「簡易課税制度」を選択することで、税負担を抑えられる可能性があるため、検討してみてはいかがでしょうか。

賃貸アパートの登記変更にかかる「登録免許税」

賃貸アパートの売却後、所有権移転登記の手続きが必要です。
その際に発生する税金が、登録免許税です。

税金の計算方法

登録免許税は、固定資産税評価額をもとに計算されます。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率(2%)

 

例えば、固定資産税評価額が5,000万円の賃貸アパートを売却する場合、登録免許税は100万円です。

税金対策のポイント

登録免許税を安くすることはできません。
登記手続きを依頼する司法書士に、事前に費用の詳細を確認しておきましょう。

登記手続きについては、司法書士に依頼せず、自分で行うことも可能です。
自分で登記手続きをすれば、司法書士に支払う報酬分を削減することができます。

賃貸アパートの売却利益にかかる「譲渡所得税」

賃貸アパートを売却して得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、これに対して税金が課されます。
譲渡所得税は、利益額や所有期間によって税率が異なるため、計算方法や特例を正しく理解することが大切です。

税金の計算方法

課税対象となる譲渡所得額は、次の計算式で求められます。

譲渡所得額 = 売却価格 - (取得費 + 諸経費)

 

取得費とは、賃貸アパートを購入したときにかかった費用を指します。
不動産の購入価格に加え、仲介手数料や登録免許税、不動産取得税など、購入時の諸経費を含むので注意しましょう。

諸経費とは、賃貸アパートを売るためにかかった費用を指します。
仲介手数料や測量費、立退料、解体費用に加え、所有期間中の減価償却分を差し引くことができます。

譲渡所得額が確定したら、以下の計算式で譲渡所得税を求めます。

譲渡所得税 = 譲渡所得額 × 税率

 

賃貸アパートを売却した際の譲渡所得にかかる税率は、その物件の所有期間によって異なります。
所有期間が5年以上なら「長期譲渡所得」、5年以下なら「短期譲渡所得」となり、税率も大きく異なるため、注意しましょう。
※長期譲渡所得の所有期間は、不動産の購入日から譲渡した日までの5年間ではなく譲渡した年の1月1日まで計算します。

  • 長期譲渡所得(所有期間5年以上)の税率

譲渡所得金額 × 税率20% (所得税15%、住民税5%)

  • 短期譲渡所得の計算

譲渡所得金額 × 税率39% (所得税30%、住民税9%)
※平成25年から平成49年までの税額については、算出された所得税を課税標準として復興特別所得税2.1%分
が加算されます

 

例えば、所有期間が6年のアパートを5,000万円で売却し、購入価格が3,000万円、諸経費が500万円だった場合、課税譲渡所得は次のように計算されます。

譲渡所得額: 5,000万円 −(3,000万円 + 500万円)= 1,500万円
譲渡所得税: 1,500万円 × 20% = 300万円

 

このケースの場合、譲渡所得税額は300万円です。

税金対策のポイント

賃貸アパート売却時にかかる譲渡所得税は、特例の適用で軽減できる場合があります。

【譲渡所得の計算上で差し引かれる特別控除の特例】

1.公共事業などのために土地建物を売却した場合 5,000万円
2.自己居住用財産を売却した場合 3,000万円
3.特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合 2,000万円
4.特定住宅造成事業などのために土地を売却した場合 1,500万円
5.農地保有の合理化などのために土地を売却した場合 800万円

 

それぞれの特別控除額は、上記に示した額にかかわらず、特例の対象となる譲渡益の額が上限となります。
また、特別控除額の合計額は年間5,000万円が限度です。適用は、上記の1~5までの番号順で進めることとなっています。

特例を適用する場合、課税対象となる譲渡所得額は、以下の計算式で求めます。

譲渡所得額 = 売却価格 - (取得費 + 諸経費)- 特別控除額

 

ただし、複雑な税金計算や特例適用を自分だけで行うのは不安という方も多いでしょう。

誤った計算で余計な税金を支払うリスクを避けるためにも、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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