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公開日:2024年11月18日

アパートを売却する際には、売却のタイミングや手順、税金など気をつけるべきポイントがいくつかあります。

この記事では、アパート売却を成功させるために知っておきたいタイミングの見極め方や全体の流れ、注意点についてわかりやすく解説します。

アパート売却前に確認したいこと

アパート売却前に確認したいこと まずは、アパートを売却する前に確認しておきたい点を6つ紹介します。

ローン残債

アパートを購入する際に投資ローンを利用していたり、不動産担保ローンを利用している場合は、ローン残債がどのくらいあるかを確認しましょう。

ローン返済中のアパートは、原則としてローンを完済しなければ売却ができません。
ローン残高が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合、差額を自己資金などで補うことができなければ、金融機関が売却を認めない可能性があります。

ローン残債を上回る価格で売却することが理想ですが、事前に残債を確認したうえで、現実的な売却プランを検討すると良いでしょう。

所有期間

アパートの所有期間は、売却時の税金に大きく影響します。

特に、相続によって取得したアパートなど、所有期間が5年以下のアパートを売却する際は、譲渡所得税が高くなる点に注意してください。

5年以上所有している場合には「長期譲渡所得」が適用され、税率が低く抑えられます。

住人の有無

アパートに住人がいて、賃料収入を得ている場合は、「オーナーチェンジ物件」として売却が可能です。
オーナーチェンジ物件は、購入者が賃貸契約ごと引継ぎ、そのまま家賃収入を得られるため、投資家にとっては魅力的な物件となります。

一方で、住人の退去が必要な場合は立ち退き交渉が必要であり、退去費用や法律的な手続きが発生します。

住人の状況を確認し、どのような形で売却するかを検討することが重要です。

築年数

築年数が古く、老朽化が進んでいるアパートは、購入後に修繕費が高額になるため、購入希望者があらわれにくい傾向にあります。
そのため、築30年を超えるアパートの売却には、時間がかかると考えておきましょう。

築年数が経過した古いアパートを売却する際は、事前に修繕して売り出すか、現状のまま売却するかの検討が必要です。
アパートを取り壊して更地として売却する選択肢もありますが、住人がいる場合は立ち退き交渉が必要なため、さらに時間がかかってしまうでしょう。

築年数によって物件の価値や売却方法が大きく変わるため、慎重に判断しましょう。

売却方法

アパートの売却方法としては、主に3つの選択肢があります。

  • 不動産仲介
  • 不動産買取
  • 個人売買

 

一般的には不動産会社の「仲介」を通じた売却が主流で、広範囲に買い手を探すことができます。

不動産会社が直接物件を買い取る「買取り」は、仲介よりも早く売却できるのがメリットですが、売却価格は低くなる傾向にあります。

個人売買は、不動産会社を介すことなく、知人や親族と直接売買契約を締結することを指します。仲介手数料を節約できますが、条件交渉や契約締結、登記などの手続きも自分で行わなければいけません。

どの売却方法が良いかは目的や状況に応じて異なるため、自分にとって最適な売却方法を選びましょう。

売却相場

アパートを売却する前に、近隣アパートの売却相場を調べておくことをおすすめします。
国土交通省が提供する「不動産情報ライブラリ(旧:土地総合情報システム)」では、過去に売却された不動産の価格を地域ごとに調べることが可能です。
実際の成約価格に基づいた情報が掲載されているため、アパート売却相場を知るための参考になります。

また、不動産会社のポータルサイトから、近隣アパートや類似物件の販売価格を調査するのも良いでしょう。
物件の築年数、間取り、立地が似ている物件の価格を見ることで、自分のアパートの売却価格の目安をつけることができます。

関連リンク:https://ipa-fudousan.com/822/

アパート売却の最適なタイミングとは

アパート売却の最適なタイミングとは アパートを売却する時期やタイミングは、売却価格や税金の金額を左右するポイントです。
適切なタイミングで売却を行うことで、収益を最大化し、不要なコストを抑えることができます。

ここでは、アパート売却を検討するおすすめのタイミングを紹介します。

築年数20年以内

築年数が20年以内のアパートは、物件の価値が比較的高く、建物の老朽化も進行していないため、売却に有利な条件が整っています。

特に築10年以内のアパートの場合、建物や設備がまだ新しく、修繕やリフォームをしなくても入居者を見つけやすいため、アパート経営を営む投資家からの人気が高いです。

アパートの価値は、築10年を超えると徐々に低下する傾向にあります。
しかし、築20年以内であれば、修繕費用も少なく入居率も安定していることが多いため、売却価格も高く設定できる可能性があります。

アパートの築年数 売却時の特徴
築5~10年 投資家からの人気が高く、売却しやすい
築10~20年 収益が安定していれば投資用物件として売りやすい
築20年以上 建物の価値が下がり始めるため、早めの売却がおすすめ


所有期間5年以上

前述した通り、アパート売却時に適用される税率は、所有期間によって異なります。
5年以上所有していると「長期譲渡所得税」、5年以下は「短期譲渡所得税」が適用され、前者のほうが税率は低いです。

売却時にかかる税金を抑えられれば、その分、手元に残る利益を増やすことができます。
3~4年目でアパート売却を検討している場合は、もう少し所有期間を延ばすことも考えてみると良いでしょう。

譲渡所得税の税率や計算方法については、後ほど詳しく説明します。

減価償却が終わるタイミング

減価償却とは、アパートの購入にかかった費用を一定期間で按分し、経費として計上する会計上の処理を指します。
減価償却費の計上により、数年間に渡って利益を減らすことができるため、節税効果を得られる仕組みです。

ただし、減価償却は以下の期間(法定耐用年数)が経過したら完了します。

アパートの種類 減価償却完了の目安
木造アパート 約22年(法定耐用年数)
鉄骨造アパート 約34年(法定耐用年数)
鉄筋コンクリート造 約47年(法定耐用年数)

木造アパートなら築20年、鉄骨造アパートなら築30年あたりで売却すると、不動産の価値だけではなく税金対策という面でも有利なタイミングと言えるでしょう。

入居者の稼働率が高い

できるだけ「高く売りたい」「早く売りたい」などの希望がある方は、アパートの稼働率が高いときに売却を検討しましょう。

空室が少なく稼働率が高い収益物件は、投資家にとって魅力的なため、売却価格の設定にもプラス要素として働くでしょう。
逆に、空室が多いと収益の不安要素が増えるため、価格交渉が難航する場合があります。

稼働率 売却価格の傾向
90%以上 安定した収益物件として評価され、高額売却が期待できる
50%以下 空室リスクが高いと判断され、価格が下がる可能性がある

入居者の稼働率を高めるには、リフォームやクリーニングを行うことも効果的です。
特に共有部分や外観を整えると物件の印象がアップし、入居者が入りやすくなるでしょう。

大規模修繕の後

アパートの大規模修繕は、建物の寿命を延ばすだけでなく、購入者の評価が上がりやすいポイントでもあります。

以下は、アパートの大規模修繕で一般的に行われる内容です。

  • 外壁塗装・屋根の防水工事
  • 共用部分の修繕
  • 設備の交換(給排水設備や電気設備など)

 

特に廊下や階段などの共有スペースが清潔で整っていると、メンテナンスが行き届いている物件という印象を与えられるでしょう。
外壁塗装・屋根の防水工事が完了していると、購入後しばらくは修繕の必要がなくなるため、安心して購入できるというメリットもあります。

アパート売却の流れ

アパート売却の流れ
アパートを売却する際には、売却手続きの流れやポイントを把握しておきましょう。
続いては、不動産会社を通じて仲介で売却を進める際の、基本的な流れと手順について説明します。

査定依頼

アパート売却の第一歩は、物件の価値を把握するために、査定依頼をすることです。
不動産会社に依頼して、現在の市場相場や物件の状態に基づいた価格を査定してもらいましょう。

査定は無料で行われることが多く、複数の不動産会社に依頼して比較することが大切です。

【ポイント】

  • 訪問査定と机上査定(オンライン査定)がありますが、正確な評価を得るには訪問査定がおすすめです。
  • 複数の不動産会社に査定を依頼して、相場を知りつつ最も信頼できる会社を選びましょう。

媒介契約

査定結果をもとに、不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約は、売却活動を依頼する正式な契約で、仲介手数料や契約内容の詳細が記載されています。
媒介契約にはいくつかの種類があるため、それぞれの特徴を把握しておくと良いでしょう。

媒介契約の種類 特徴
専属専任媒介契約 1社のみが仲介可能で、自分での買い手探しも不可。不動産会社が積極的に売却活動を行う。
専任媒介契約 1社のみが仲介できるが、自分での買い手探しは可能。不動産会社が売却活動を重点的に行う。
一般媒介契約 複数の不動産会社と契約できるが、不動産会社の売却活動の積極性は専属契約に比べると低くなる可能性がある。

【ポイント】
売却を急ぐ場合は専属専任媒介契約が効果的ですが、幅広く買い手を探したい場合には一般媒介契約が適しています。

売却活動

媒介契約を結んだ後は、不動産会社は売却活動を開始します。

売却活動には、インターネットでの物件掲載、チラシ広告、内覧などが含まれます。
興味を持った購入希望者には、実際にアパートを内覧してもらい、物件の魅力を伝えます。

【ポイント】
購入希望者が内覧で好印象を持てるよう、共用部分や物件の清掃、メンテナンスを心がけましょう。

契約・決済

購入希望者との価格交渉が成立したら、売買契約書を締結します。
不動産会社が物件の状態や契約内容を説明し、売主と買主の双方が納得の上で契約を行います。
また、契約後には手付金を受け取り、決済や物件引渡しの準備を進めます。

【ポイント】
契約内容の詳細を確認し、疑問点があれば不動産会社や専門家に相談することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

アパート売却にかかる費用(税金・手数料)

アパート売却にかかる費用(税金・手数料) アパートを売却する際には、売却価格に対する税金や手数料など、さまざまな費用が発生します。

印紙税

印紙税とは、アパートの売買契約書に貼付する印紙の代金です。

印紙税は、売買契約書の金額に応じて異なり、契約金額が大きくなるほど税額も増えていきます。

【印紙税(軽減措置:令和9年3月31日まで)】

売買契約の金額 本則税率 軽減税率
500万円を超え1,000万円以下のもの 1万円 5千円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万円 1万円
5,000万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円

出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

例えば、アパートの売却価格が4,000万円の場合、印紙税は1万円です。

仲介手数料

不動産会社を通じて仲介で売却を進める場合、仲介手数料が発生します。

仲介手数料は、アパートの売却価格に応じた割合で計算され、一般的には「売却価格の3%+6万円」に消費税を加えた金額となります。

仲介手数料は成功報酬のため、売却成立時のみ発生します。

【仲介手数料の計算方法】

不動産の売買価格 仲介手数料の上限額(税抜)
200万円未満 売却価格×5%
200万円超400万円以下 売却価格×4%+2万円
400万円超 売却価格×3%+6万円

【仲介手数料の計算例】

  • 売却価格2,000万円の場合:2,000万円 × 3%+6万円=66万円(税抜)
  • 売却価格5,000万円の場合:5,000万円 × 3%+6万円=156万円(税抜)

【仲介手数料の早見表】

売買価格 仲介手数料(税抜) 仲介手数料(税込)
3,000万円 960,000円 1,056,000円
3,500万円 1,110,000円 1,221,000円
4,000万円 1,260,000円 1,386,000円
4,500万円 1,410,000円 1,551,000円
5,000万円 1,560,000円 1,716,000円
6,000万円 1,860,000円 2,046,000円
7,000万円 2,160,000円 2,376,000円
8,000万円 2,460,000円 2,706,000円
9,000万円 2,760,000円 3,036,000円
1億円 3,060,000円 3,336,000円
2億円 6,060,000円 6,666,000円
3億円 9,060,000円 9,966,000円
4億円 12,060,000円 13,266,000円
5億円 15,060,000円 16,566,000円

また、当社のお問い合わせから専任媒介契約を締結いただいたお客様に限り、仲介手数料を半額でお受けさせていただいております。
※専任媒介契約:複数の不動産仲介業者へ売却依頼をするのではなく、一社に限定して売却依頼をすることです

アパートの売却でお悩みの方はぜひ一度弊社までお問い合わせいただければと思います。
※メール・お電話の2つの相談窓口を用意しております

譲渡所得税

譲渡所得税は、アパートの売却で得た所得に対して課される税金です。
売却価格から取得費や売却にかかった経費を差し引いた残りの利益をもとに計算されます。

前述の通り、アパートの所有期間によって税率が異なるため、注意しましょう。

区分 税率
短期譲渡所得
(所有期間5年以下の土地・建物)
税率39.63% (所得税 30.63% 、住民税 9%)
長期譲渡所得
(所有期間5年を超える土地・建物)
税率20.315% (所得税 15.315% 、住民税 5%)

【譲渡所得税の計算例(※アパートの売却益500万円の場合)】

  • 長期譲渡所得(5年以上)の場合:500万円×20.315%=101万5,750円
  • 短期期譲渡所得(5年未満)の場合:500万円×39.63%=198万1,500円

繰上返済手数料

ローン返済中のアパートを売却する際は、売却代金を受け取った後、繰上返済を行います。

その際にかかる手数料が、繰上返済手数料です。

手数料の金額は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

登記費用(抵当権抹消)

アパートの売却代金でローンを完済したら、抵当権の抹消登記を行います。
抵当権抹消登記にかかる登記費用は、1不動産あたり1,000円です。

ただし、所有権移転登記は司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士へ支払う報酬額は地域や依頼内容によって異なるため、事前に見積もりをもらうと安心です。

その他費用

アパート売却には、これまで説明した以外にも、以下のような費用が発生する場合があります。

  • ハウスクリーニング費用
  • 測量費用
  • 解体費用
  • 家財などの処分費用 など

 

物件の状態や売却条件によってかかる費用は異なるため、不動産会社に相談しながら、総額いくらの費用がかかるのかを確認しておきましょう。

不動産売却にかかる費用については、こちらで詳しく解説しています。

アパートの売却で注意したいポイント

アパートの売却で注意したいポイント
アパートを売却する際には、状況によって注意が必要なポイントがあります。
売却方法や目的に応じて準備が異なるため、それぞれのケースに合った対策が重要です。

相続したアパートの場合

相続によって取得したアパートを売る際は、以下の3つの特例を適用できる可能性があります。

  • 取得費加算の特例
  • マイホームを売ったときの特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

 

取得費加算の特例とは、すでに支払った相続税額を、アパート売却の取得費に加えられる特例です。取得費が増えることで譲渡所得が減少し、税負担を軽減できます。

マイホームを売ったときの特例は、相続したアパートが居住用であった場合に適用でき、譲渡所得から最大3,000万円の控除を受けることができます。

相続したアパートが空き家だった場合、売却時に一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けられます。

いずれの場合も、適切な手続きをしなければ特例は適用されないため、税理士や不動産会社に相談することをおすすめします。

オーナーチェンジの場合

入居者がいるアパート(収益物件)は、オーナーチェンジ物件として売却するため、購入者は投資家や不動産会社などに絞られるのが一般的です。

オーナーチェンジ物件の売却を成功させるには、収益性の高さと管理体制をアピールするのがポイントです。

例えば、空室が多かったり、家賃滞納者がいる場合、購入希望者からリスクが高いと判断される可能性があります。家賃収入の実績を資料としてまとめたり、賃貸条件に問題がないかなどを事前に確認しておくと良いでしょう。

また、オーナーチェンジが決定した後は、スムーズな引継ぎが求められます。
特に、賃貸借契約書はもちろん、入居者から預かっている敷金も新オーナーに引き継がなければいけません。
売買代金とは別に、敷金の受け渡しが発生する点に注意しましょう。

取り壊して更地にする場合

築年数が古いアパートで老朽化が進んでいる場合、取り壊して更地にした上で、「土地」だけを売却するという選択肢もあります。

更地にすることで、アパートの購入を検討していなかった層にもアピールしやすくなりますが、解体費用が発生する点には注意が必要です。

また、更地にすると固定資産税が高くなることがあるため、費用対効果を慎重に見極める必要があるでしょう。

アパート売却でよくある疑問【FAQ】

アパート売却でよくある疑問【FAQ】
ここからは、アパート売却でよくある疑問とその回答を紹介します。

売却する前に修繕やリフォームをするべき?

売却前に修繕やリフォームを行うべきかどうかは、アパートの状態や売却希望価格、購入希望者のニーズにより異なります。

軽微な修繕やクリーニングを行い、物件の印象を良くしておくことは効果的です。
ただし、大規模なリフォームは費用がかかるため、投資として回収できるかを慎重に判断しましょう。

関連リンク:https://ipa-fudousan.com/1385/

売却完了までどのくらいの期間がかかる?

アパートの売却には、一般的に3~6ヶ月程度の期間がかかることが多いです。
ただし、立地や物件の条件、時期によっても異なります。

売却活動から契約、決済までの流れをスムーズに進めるためには、不動産会社と密に連携し、適切な価格設定とマーケティング活動を行うことが重要です。

不動産仲介と買取りは何が違う?

アパートの売却方法として、不動産会社による「仲介」と「買取り」があります。

仲介は、不動産会社が買い手を探し、売却価格が市場価格に近い価格で売れる可能性がありますが、売却までに時間がかかることがあります。

一方、買取りは不動産会社が直接買い取るため、早期に売却が完了しますが、市場価格よりも低くなることが一般的です。

関連リンク:https://ipa-fudousan.com/604/

アパートを高く売るコツはある?

アパートを高く売るためには、売却前に物件を整え、購入希望者にとっての魅力を最大化することが大切です。
清掃やクリーニングをして物件の印象を良くしたり、現実的な売却価格を設定することがポイントになるでしょう。

また、収益物件を高く売るには、一棟収益物件の売買に強い不動産会社に依頼することも重要です。
不動産会社のホームページを確認し、どんな物件を取り扱っているのかを確認しましょう。

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