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公開日:2024年2月26日
最終更新日:2024年10月12日

不動産を売却するときにかかる費用や手数料、税金に不安はありませんか?
不動産の知識が何も無いのにアパートなど収益物件を相続してしまい、悩んでいる方もいると思います。
特にまだ入居者がいる場合、管理や運営方法が分からず、売却したいと考える方もいるでしょう。

本記事では、印紙税や仲介手数料などの不動産売却にともなう費用や、費用を抑える方法をやさしく解説します。
不動産売却の際にかかる費用を理解し、効果的に不動産を売却する方法を伝授します。

アパートなどの不動産売却にかかる費用とは?税金や計算方法の目安を一覧

アパートなどの不動産売却にかかる費用とは?税金や計算方法の目安を一覧

不動産売却にかかる主な費用は6つあります。

費用名

算出方法

印紙税

0~6万円

仲介手数料

売却価格により変動

400万円を超える部分の上限額は

「売却価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税

譲渡所得税

譲渡所得 × 税率

登記費用と司法書士の代行手数料

1〜3万円

引渡日以降の賃料や敷金

物件により異なる

その他(売却時にかかる費用など)

契約内容や物件の状況による

不動産を売却する際にかかる費用はさまざまですが、大きく分けると不動産が売れる前に払う費用と売れた後に払う費用の2種類です。
「印紙税」と「登記費用と司法書士の手数料」だけは不動産が売れる前に払わなければならず、残りは売れた後に売却益から払います。

以下で、不動産売却にかかる各費用を詳しく説明します。

不動産売却にかかる費用①印紙税

印紙税とは課税文書にかかる税金です。課税文書とは交付に税金がかかる文書です。
課税文書にはさまざまな種類があり、「不動産の売買契約書」も含まれています。
納税方法は収入印紙を買ってきて課税文書に貼り付け、ハンコやサインで消印するのが一般的です。
高額な領収書などに切手のようなものを貼ってハンコを押しているのを見たことがあるでしょう。あれが収入印紙です。 
印紙税の金額は売買価格により、以下のような違いがあります。

売却価格と印紙代

10万円以下

0円

10万円超~50万円以下

500円

50万円超~100万円以下

500円

100万円超~500万円以下

1,000円

500万円超~1,000万円以下

5,000円

1,000万円超~5,000万円以下

10,000円

5,000万円超~1億円以下

30,000円

1億円超~5億円以下

60,000円

※上記金額は令和6年1月末までの軽減措置を受けた金額になります。

不動産売却にかかる費用②仲介手数料(媒介の報酬)

契約が成立した際には、仲介業務を行った不動産会社へ成功報酬の支払いが必要です。
仲介手数料(媒介報酬)の金額の上限は宅地建物取引業法で定められています。
仲介手数料が不動産会社の利益となる訳です。

売却価格(税抜)

仲介手数料の上限額

200万円以下

「売却価格(税抜) × 5%」+ 消費税

200万円から400万円以下

「売却価格(税抜) × 4% + 2万円 」+ 消費税

400万円を超える部分

「売却価格(税抜) × 3% + 6万円 」+ 消費税

例えば、物件を2000万円で売却すると仲介手数料の上限額は以下の通りです。

仲介手数料 = (2000万円 × 3% + 6万円)+ 消費税 = 72.6万円

不動産売却にかかる費用③譲渡所得税

アパートを売却して利益が出た場合には、譲渡所得税が課税されます。

例えば、2000万円のアパートを購入し、2500万円で売れた場合は「500万円利益が出た」と判断され、儲けの500万円に所得税が課税されます。
しかし自己居住用の物件を売却した場合は「利益」に対して「3,000万円の特別控除の特例」があるため、3,000万円まで利益に対して所得税は非課税です。
住民税も所得税と同様、利益が出た場合のみに課税されます。

譲渡所得税額

5年以上「長期譲渡」

譲渡所得 × 税率(所得税 15.315% + 住民税 5%)

5年未満「短期譲渡」

譲渡所得 × 税率(所得税 30.63% + 住民税 9%)

※所得日は取得年の翌年から数えます。

不動産売却にかかる費用④登記費用と司法書士の代行手数料

ローン利用の場合には物件に抵当権が設定されており、抵当権を抹消するために費用がかかります。
抵当権とは万が一ローンが返せなくなった場合に、物件を売却した利益を財源として弁済を受ける権利です。
ローンを組んだのはあくまでも現在の所有者(売り手)であり、買い手には関係ないので、抵当権を抹消しないと売れません。
「抵当権抹消登記」と言い、所有者に代わって司法書士が手続きを行うケースが多いです。
費用は1物件につき1,000円(抵当権抹消登記)と司法書士へ支払う代行手数料が費用としてかかります。
代行手数料は司法書士によって異なりますが、だいたい1万円〜3万円程度が多いようです。

不動産売却にかかる費用⑤引渡日以降の賃料や敷金

一般的に賃借人は翌月分家賃を前倒しして支払っている場合が多いです。受領済みの家賃のうち引渡日以降の家賃については買い主のお金ですので、引渡日から日割計算して買い主へ支払います。

また、賃借人が入っているまま売却する場合には、賃借人が預けた敷金も買い主に渡す必要があります。なぜなら敷金とはあくまでも賃借人から預かっているお金であり、賃借人が退去するときには新しいオーナーとして買い主が返さなければならないからです。

不動産売却にかかる費用⑥その他の費用

売却する不動産によって、他にも以下の費用が発生することがあります。

費用名

費用

ハウスクリーニング

2〜10万円

測量費用

30〜100万円

解体費用

200~400万円

家財などの処分費用

100~300万円

測量費用とは、土地の境界が定まっていない土地を売却する際に必要です。

その他にきれいな状態で引き渡すための費用や処分費用もかかる場合があります。

売却にかかる費用は、契約内容や不動産の状態などにより異なります。早めに不動産会社の担当者と相談し、必要な作業や費用を把握しておきましょう。

売買代金とは別に買い主から受け取れる代金

売買代金とは別に買い主から受け取れる代金

売買代金以外にも買い主から受け取れる代金があります。

  • 固定資産・都市計画税の精算金
  • 管理費・修繕積立金の精算金
  • 火災保険の解約費

売買代金がすべてではなく、上記の3つを考慮した上で売却金額の設定をしましょう。そして仲介業者と念入りに打ち合わせをして、堅実な取引を目指しましょう!

固定資産・都市計画税の精算金

固定資産税や都市計画税は1年分払うので、物件引渡日に応じて1年分の税額を日割計算し、買い主が売り主に精算金として支払います
毎年1月1日時点で物件を所有していた人に課税されるので、いつ売却したかによって清算金の額が変わってきます。

管理費・修繕積立金の精算金

賃料とは逆に管理費や修繕積立金は引き渡し日以降は買い主の負担です。
管理会社などに翌月分を前払いしている場合、引き渡し日以降の管理費などは日割り計算で返してもらえます。

火災保険の解約費

火災保険料は5年や10年分を一括で支払うケースがほとんどで、銀行融資を利用している場合はローン年数の全期間分の火災保険への加入も珍しくはありません。
火災保険料は売却した時からの残存期間分が解約金として受け取れます。

そして火災保険の解約金の返還を知らない人が多いようで、不動産業者の中には説明もしない業者もいるようです。
火災保険とはいえ数十万円にもなる場合もあるので、戻せるものはしっかりと戻しておきましょう。

不動産売却にかかる費用を抑える方法5選

不動産売却にかかる費用を抑える方法5選

不動産の売却には多額の費用がかかるため、税金の特例などを利用して賢く費用を抑えるとよいでしょう。
不動産の売却にかかる費用を抑える方法を5つ紹介します。代表的な方法は以下になります。

  • 3,000万円特別控除を適用する
  • 10年超所有軽減税率の特例を適用する
  • 特定居住用財産の買い換え特例を適用する
  • 損益通算と繰越控除の特例を適用する
  • 信頼できる不動産会社に依頼する

3,000万円特別控除を適用する

マイホームを売却して利益が出た場合、譲渡所得の金額から最高3000万円までは非課税です。
適用するためには以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 居住用財産であること
  • 配偶者、直系血族への売却でないこと
  • 特例を受けることを目的とした物件ではないこと
  • 前年、前々年に3000万円特別控除の特例を受けていないこと

 

マイホームを壊した更地を売却する時にも、条件を満たせば3000万円の特別控除を利用できます。控除を適用するためには、確定申告で適切な書類を準備して申請することが必要です 。

引用元:国税庁のホームページ

10年超所有軽減税率の特例を適用する

3000万円特別控除を適用しても譲渡所得がある場合に、10年超所有軽減税率の特例を利用できます。一定の要件を満たすことで、長期譲渡所得の税額を通常よりも低くすることが可能です。

長期譲渡所得の税額は20.315%(所得税 15.315% 、住民税 5%)が一般的です。

ただし特例を使えば、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に関しては14.21%(所得税 10.21% 、住民税 4%)まで税率が下がります。

また、適用するためには以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
  • 前年、前々年に 10年超所有軽減税率の特例を受けていないこと
  • 配偶者、直系血族への売却でないこと

引用元:国税庁のホームページ

特定居住用財産の買い換え特例を適用する

マイホームの買い替えを目的として物件を売却する場合に、一定条件を満たせば譲渡所得税を繰り越すことができる制度です。
売却金額よりも新しく購入したマイホームが高額な場合、譲渡所得を次の売却時まで先送りできます。
適用するためには以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 譲渡した年の1月1日時点の所有期間と居住期間が10年を超えていること
  • 譲渡対価は1億円以下であること
  • 購入した居住用財産の床面積が50平方メートル以上であること

引用元:国税庁のホームページ

損益通算と繰越控除の特例を適用する

物件を売却して譲渡所得がマイナスとなった場合、翌年以降3年間にわたって譲渡損失を他の所得から控除(損益通算)できます。
損益通算とは、その年の所得の黒字部分と赤字部分を相殺できる制度のことです。
また適用するためには確定申告と、以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 居住用住宅であること
  • 10年以上の住宅ローンを利用していること
  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
  • 繰越控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること

 

損益通算の利用で税負担の軽減が可能です。特に、不動産市場が不安定な時期に売却する場合に、損益通算は大きな役目を果たします。

引用元:国税庁のホームページ

信頼できる不動産会社に依頼する

物件の売却では大金が動くため、経験豊富で信頼できる不動産会社への依頼が重要です。自分に合った不動産会社を選定すれば、費用を抑えつつ適正価格で売却できます。

とくに、以下の特徴に当てはまる不動産を選ぶとよいでしょう。

 

  • 顧客からの評判がいい
  • 取引実績が豊富
  • 物件のある地域に詳しい
  • 適正な査定価格を提示してくれる
  • 売却戦略が整っている
  • 不動産の得意分野が、売却目的にマッチしている

 

「適正な査定価格を提示してくれる」項目に関しては、査定価格が相場よりも高すぎると、なかなか買い手が現れず売却機会を逃してしまいかねません。

ですから、売却できる見込みがあるかどうかを真剣に考えてくれる業者を選びましょう。

不動産売却の手順【5ステップ】

不動産売却の手順【5ステップ】

不動産売却は以下の5ステップで進んでいきます。

  1. 不動産業者へ依頼する
  2. 不動産業者が買い主を探す
  3. 売買契約を結ぶ
  4. 引き渡し
  5. 納税

一つひとつ説明しましょう。

1. 不動産業者へ依頼する

まず、不動産業者へ売却を依頼します。
業者によって売却の成功が決まるので慎重に選びましょう。
広告が目立つとか、大手だとか、単なる印象で選ぶと失敗しがちです。
ちゃんと実績や知識があるか、ネットの評判はどうかなど、実態を調べてから依頼しましょう。
また、担当スタッフの人柄やスキルも大事です。
コミュニケーション能力が高く、説明がわかりやすいスタッフのいる不動産業者を選びましょう。

2. 不動産業者が買い主を探す

不動産業者が広告を打ったり、営業ネットワークを駆使したりして買い主を探します。
入居者がいる場合は内覧はできませんが、入居者のいない物件の場合は売り主として内覧の対応をしなければなりません。
また、入居者が購入を希望する場合もあるので、管理会社などを通じて入居者に購入の意思を確認しなければなりません。

3. 売買契約を結ぶ

買い主が見つかったら契約を結びます。
不動産の売買契約は難しい専門用語が多く、知識が無い方が1人でやるのは難しいですが、不動産業者が代理でやってくれるので大丈夫です。

4. 引き渡し

契約を締結したら引き渡し日を決めて、物件を引き渡します。
引き渡し日が来たら買い主に所有権が移るので、すぐに買い主が使えるように準備をしましょう。
不動産業者がサポートしてくれるので、業者の指示にしたがって準備をすれば大丈夫です。

5. 納税

売却で利益が出た場合は税金を納めなければいけません。
天引きはされませんので、自分で確定申告をして納税する必要があります。
確定申告は自分でやれますが、税理士に相談すると全部やってくれます。

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