マンションの仮差し押さえから、競売、強制執行まで簡単に解説 カテゴリー:マンション売却の知恵袋 公開日:2020年7月22日 最終更新日:2023年1月19日 住宅ローンを返すことができなくなった時、債権者側は裁判所に債権の回収を申し立てします。 そして、その不動産を取り上げられることがあるのですが、その際の手続きとして差し押さえや、仮差し押さえ、競売、強制執行などがあります。 これは、どのような手続きなのでしょうか?わかりやすく解説いたします。 目次1 差し押さえとは?2 仮差押えとは?3 差し押さえとの相違点4 競売とは?5 強制執行とは?6 まとめ 差し押さえとは? 借金を返せなくて財産が差し押さえられる、という話を聞いたことがあるでしょうか? 昔のドラマなどでは、家の中のものに片っ端から赤い紙を貼られていましたが、今はそのようなことは行われず、差押えという手続きをされることになります。 具体的には、返済が滞った時などに債権者側が裁判所に債権回収のための不動産強制競売を申し出て、その内容が確かであれば裁判所が法務局に委託して手続きをします。 そして、不動産の登記に差し押さえ登記というものが追加されるのです。 登記が終わると、その不動産の持ち主に通知が届き、その後は競売にかけられるのです。 差し押さえられたものは使用できなくなる、というイメージがあるかもしれませんが、不動産が差し押さえられたからと言ってすぐに追い出されるわけではありません。 差し押さえられていても、その所有権は自分にあるので、不動産を明け渡すのは、実際に買う人が決まってその人が手続きをすべて終え、明け渡しを要求してきた時になります。 そのため、自宅が差し押さえられたとしても、引っ越しの準備期間はきちんとあるのです。 差し押さえをうけた不動産は、処分することを禁じられ、もし、その土地を高額で買い取りたいという人がいても、売ることはできなくなるのです。 ただし、競売が行われる前であれば、差し押さえを解除する手続きをした上であれば売却することができます。 また、債権には支払いの時効があるのですが、差し押さえられるとその時効が中断され、そこからはいくら時間を待っていても、時効になることはないのです。 時効ギリギリまで滞納し続けることもそうそうないでしょうが、覚えておきましょう。 仮差押えとは? 不動産の登記をみると、仮差押えという手続きをされているものも見られます。 これは、差し押さえではありませんが、その予定となっていることを示しているもので、実は仮差押えの段階ですでに財産の処分はできなくなっています。 仮差押えは、民事保全法という法律で認められているもので、それを裁判所が行うことを仮差押命令といいます。 ただし、どんな時でも仮差し押さえできるという訳ではなく、差し押さえをするまでに時間がかかる可能性がある時など、強制執行ができなくなる可能性がある場合に行われます。 裁判を行ってから差し押さえとなるような時、判決が出るまでの間に対象となる不動産を処分されてしまう可能性がある、といった場合に仮差押えをするのです。 そして、債務者に損害を与える可能性があるので、債権者は担保金を預けておく必要があります。 また、相手に対象となる財産が複数ある場合は、なるべく不利益を与えないものから順に仮差押をするというルールがあるので、不動産が優先的に対象となるのです。 仮差押は、申し立てから最短で2日ほど、通常でも3日から5日ほどで決定されます。 これは、相手が急いで資産を処分しようとしても間に合わないようにするためです。 ただし、担保が必要なのでそう軽々しく申し立てることはできないでしょう。 流れとしては、まず申し立てを行って書類を提出し、裁判官と面接します。 そして、担保がいくらになるかを決定して、それを法務局に預けるとその翌日には決定されるのです。 差し押さえとの相違点 差し押さえとの違いとして、まずはそれが認められている法律が異なります。 仮差押えは民事保全法でしたが、差し押さえは民事執行法で認められているのです。 それ以外にも、様々な点で違いがあります。 仮差押えは、あくまでも財産の処分を禁止するためのものです。 しかし、差し押さえは違い財産を勝手に処分する事を禁止すると同時に、競売が行われることが決定したときに差し押さえとなるのです。 差し押さえをするには、債務名義というものが必要になります。 これは、債権の範囲を示した公文書のことで、民事執行はそれが根拠となるのです。 裁判で争っている場合は、その判決か仮執行宣言、支払い督促、公正証書、和解あるいは調停調書などが必要です。 しかし、仮差押えにはそれが必要ありません。 自由にできるわけではないのですが、差し押さえほど厳格に決められたものではなく、お金を貸しているという証拠と仮差押えが必要な根拠を提出して、おおよそ信用されれば問題ありません。 ただし、それによって相手に損害を与えてしまった場合は、担保金を没収されてしまうので、やはり申し立ては慎重に行う必要があります。 差し押さえには担保がいらないので、その点も大きな違いでしょう。 また、仮差押えについてはお金を借りた側が解除を求めることもできます。 不動産の場合は、すでに売却する予定が進んでいた場合などを除いては解除されることはないでしょうが、相手が会社の場合は売掛金や銀行口座などが仮差押命令の対象となっていた場合に、解除を求められることがあります。 解除するために必要となるのは、その保全しようとしていた請求権と同額です。 例えば、1,000万円の支払いを求めた裁判で仮差押えをした場合は、相手が1,000万円を支払わなければ解除できないのです。 この時の解除金は、供託として扱われます。 つまり、仮差押えの対象となる資産を、不動産などから現金に変更した、という事です。 その現金は、裁判での結果に応じて支払われるか、あるいは返還されることとなります。 もし、仮差押えをした後で相手が破産してしまった場合、その仮差押命令は無効になってしまいます。 その場合、仮差押えをしていたから優先的に受け取れるわけではなく、他の財産と一緒に通常の破産による債権の回収と同様に扱われるのです。 競売とは? 差し押さえを受けた不動産は、競売にかけられます。 不動産競売や強制競売とも言われることがありますが、入札形式で購入者を見つけることができる不動産オークションのようなものです。。 不動産が差し押さえられた時点で、競売にかけられることが決定し、裁判所から執行官と評価人が対象の不動産を訪れて、現況調査をします。 その調査を基にして、競売での売却基準額を決定するのです。 競売では、その基準額の8割以上の金額で入札しなくてはいけないという決まりがあります。 ちなみに、執行官や評価人の調査を断ることはできないと民事執行法で決められているのです。 もし断った場合は、警察が立ち会った状態で強制的に調査することとなります。 調査が終わると、その物件の明細がインターネット上で公開され、購入希望者はその情報を見ていくらで入札するかを決定するのです。 実際に公示されてから、入札が開始されるまでは最低でも1カ月前後の期間はあります。 入札の結果、最も高い金額を付けた人が落札します。 期限内に代金を一括納入すれば、その不動産は落札者のものとなります。 売却代金は、税金の滞納があれば優先的にその分が納付され、それ以外の債権は債権者が金額の比率に応じて分配されることとなります。 落札した人は、代金を納付してその不動産の所有権を得ることになります。 そして元の所有者が退去しなかった場合は、6カ月の間に不動産引渡命令を申し立てることができるのです。 強制執行とは? 裁判所からの引渡命令に従わず、不当に占拠を続けている状態を解消するために取られるのが強制執行です。 債権の担保となった不動産を回収する一連の手続きを、全体的に強制執行と呼ぶこともあります。 強制執行を受ける前に、任意売却などの方法を検討してみましょう。 まとめ 不動産のローンや税金の支払いを滞納してしまうと、その担保となている不動産が差し押さえや競売、強制執行などで回収されることがあります。 こういった手続きが決定すると諦めてしまう人も多いのですが、タイミングによっては売却できる可能もあります。 競売だと売却額が相場よりもずっと安くなることが多いので、最初から諦めるのではなく、一度専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。 当社では差し押さえられた不動産を売却する任意売却の専門部署を設けております。 当社の専門スタッフによる手続きを行えば、差し押さえられた不動産でも売却できる可能性がありますので、先ずはお気軽にご相談ください。 この記事のキーワードマンション売却 不動産が差し押えられたら 任意売却 競売